先日、受注見込み度が高い案件と営業から報告されていたお客様から「他社の決めました」という連絡を頂戴した。

営業担当者は、その見込み先へ多大な労力を費やしていた。
、何度も見積対応、提案対応を行い、感触的にはかなり好感を得ていたので、その返答にがっかりし、落ち込んでしまう。
そして、いろいろ失注理由を推測するのだが、本当のところは分からない。

そこで、社長の私のほうから、その失注先に直接電話をかけて本当の理由を聞きだそうということになった。
先方へは
「今後改善の参考にさせて頂きたいので、当社の至らない点をお聞かせ頂きたい」というスタンスをヒアリングを行った。
最初はおそるおそるだったが、いずれのクライアントも、見積などで手間を掛けて断ったという面もあるのでおおむね協力的であった。
その理由を営業マンにフィードバックすると、彼は人一倍、目標意識と責任感の高い人間だけに、重要な気付きを得るようになった。

電話聞き取りから得た教訓には以下のようないくつかのものが上がった。
●商品の特長は詳しく説明しているのに、その事例や実績の説明が薄かった
●セールスポイントについて本当に熱意をもって伝えていなかった
●見積り価格体系が、クライアントの要望する体系とずれているのにそれで押し通していた
など

失敗からは目を背けたいのが人間の心理である。
しかし、失敗は気付きと学びの宝庫だと思う。

よく営業のコンサルタントは商談の勝敗分析ということはいうが、その方法論が明確になっていないまたは有効な方法に落とし込まれていないのというケースが身請けたる。
本人でない人間が(それも上司や社長が)、失注先へ直接電話を掛けて、腰を低くして失注理由を聞くのは、営業改善だけでなく、もっと重要な手がかりも得られる場合もある。
当社の商品の価格体系、特長づけの方向性、お客様のニーズなど・・・

営業の商談失注分析は社長の経営課題を学ぶ題材の宝庫でもあると思った。